みなさんこんにちは、ダメリーマンのアベです。


僕は普段漫画をあまり読みません。


しかし書店でふと表紙とタイトルのインパクトに惹かれて自殺島を全巻大人買いして読みました。


その自殺島の感想を書いていこうと思います。


ネタバレ全開の全巻読んだ人向けの感想となっておりますので未読の方はブラウザバック推奨です。





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まず自殺島のあらすじを読んだ時、自殺未遂の人間達が無法の島で殺し合う話だと僕は思ってました。


無法地帯のバトルロワイヤルとか大好物ですからね笑



しかし内容は全くの別物、人間同士の殺し合いもありますがメインはサバイバル生活と作者の死生観の訴えとなってます。



主人公セイを始め、色々な個性豊かな未遂キャラ達が様々な人間ドラマを繰り広げる話となってます。



アメリカドラマとかでありそうなサバイバルヒューマンドラマって感じです。


これだけなら良くありそうな話なんですが、自殺島のキモは登場人物がみんな未遂者という点です。



自殺島ならではの話作りや魅力がこの作品にはありました。


そんな自殺島の僕の好きなシーンはというと...



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こういう死生観の訴えです。


キャラクターを通して作者の訴えが聞こえてきます。中にはダイレクトにナレーションとして訴えてくる描写も多々あります。



作者の森さんが自殺島という作品を通して読者に何を伝えたかったのかというと僕なりに考察しました。それは...



人間は生物の一部でありもっと生きるという純粋な行為に喜びを見出すべき



ということです。



自殺島の生物の代表として描かれているのはシカです。



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シカはセイにとっては生命力に溢れた気高い存在に見えました。


ではなぜセイはシカに魅力されたのか、その答えはシカ達が純粋に生きるために生きている


からです。


現代人は毎日様々なストレス、嫌な事と戦っています。


それらは直接生きることと関係ないこともあるでしょう。



そしてセイ達未遂者は様々なストレスに晒されて生きるという行為をやめました。



生物が本来持つべきである生きるという本能を捨て去ったのです。



しかしセイは生き物が本来持つべきである生きる尊さ、大切さをシカ越しに見ました。



セイはシカの生きる姿に生物として惹かれたわけです。


そしてセイは生きる為にシカを狩りました。


そこでセイはすべての命に感謝するわけです。人間としてではなく、生物としての本来持つべき矜持を取り戻します。



セイはこの瞬間自分も生物の一部であり生きる為に生きるという純粋な気持ちで行動できるようになります。ただ生きているということに喜びを見いだせるようになりました。



本土では毎日生きる意味を見い出せずに惰性で毎日引きこもって生きていたセイが覚醒した瞬間でした。



生きるという当たり前な行為が当たり前にできているということを現代人の僕らは今こそ感謝しなければいけないですね。







さて、僕たちは毎日肉や魚を当たり前のように食べて生きています。



しかしそれらは生命を殺して食べているという当たり前のことを僕はこの漫画で再認識することができました。



そして毎日何気なく食べている米や野菜ですが、それらも大変な努力の上に成り立っているものだということも知りました。



作中のキャラクター達が必死に米や野菜を作っていました。


その中でミノルというキャラクターが印象的です。


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本当は田んぼや農業が好きで農業をやりたかったのに、意地張って周りもみんな上京して働いてるから


という理由でミノルは上京して働き始めます。


そして何もかもうまく行かずに未遂を起こしてしまいます。


みなさんも、"周りがしてるから"という理由で周りに合わせて同じ道を歩もうとした時があると思います。



それは、"周りと違うのはおかしい"とかそんな感情があるんじゃないかなと思います。



ミノルも本当はやりたい事があったのに周りに流された1人です。



しかし自殺島でミノルは本当にやりたかった事を思い出し最後は黄金の絨毯(米)を満開に咲かせました。



そしてミノルは死んでしまいましたがそのノウハウや想いは自殺島のメンバーに残り続けました。


この話からも自分が本当にやりたいことはきちんと自分の想いにしたがってやっていくべしだと思いました。


1度きりの人生、周りに合わせて自分の意思を捻じ曲げる必要はないかなと感じます。



余談ですが僕はこのミノルというキャラが1番好きです。



周りに流されるところが昔の僕に重なったからです。最後は自分の本当のやりたい事を見つけられて良かったなと思いましたが、ミノルが死んでしまったのが悲しかったです。



なんでミノル殺したんだよぉ、こういうキャラは生きててほしかったな...死は理不尽ということか






最後に、自殺島を読んで僕が話したいことは人間はどんなコミュニティを作っても争いが起きるということです。


自殺島のような原始的な世界でも人間同士の争いが起こっています。


その結果、多くの人間が自殺島で命を落としました。



同族を殺して自分達が生き残るという行為にセイは最後まで疑問を持ち葛藤し続けていましたが、それも人間らしいなと思いました。


復讐するのも人間、話し合うのも人間、許す野間人間だけにできる行為です。



セイのうじうじした行動も人間らしく良かったのかなと僕は思っています。




自殺島という漫画の何が魅力的かと言うと、僕は登場人物の人間臭さだと思います。


決して絵は上手くなく、正直下手くそと言えるレベルかもしれませんがこの作者の描く登場人物はみんな俗っぽい人間ばかりで僕は大好きです。


みんな悩みや葛藤を抱えて生きています、完璧な人間なんて一人も出てきません、むしろ問題だらけの人間しかいません。



でもそんな登場人物達が葛藤して生きる為に行動していく姿がこの作品の魅力だと思います。


最後は人間同士の殺し合いも沢山出てきますが、最後は相手の元凶(サワダ)だけを殺し相手の下っ端達を許します。許すというとても難しい選択をリュウ達は選択しました、ボウシが本当に皆殺しにするんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてました笑


サワダは正直救いようが無かったのでサメに食われて良かったです。


何か本当は人一倍臆病な性格とか何とか言ってましたが関係無いです、やったことが全てですので。




さて、ラスボス的な立ち位置になったカイというキャラがいます。



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↑コイツです。
ボウシに論破されてブルブル震えてたうんこ野郎です。



最初から最後までクズでした。本当にどうしようもないぐらいのクズでした。



自分は前に進めないからと言って島の人間を皆殺しにして自分も死のうとしていたゴミです。



何でも人の感情が分からないとかなんとか。


それでも人より優位に立ちたい、認められたい、嫉妬狂いという事故承認欲求の塊のような人間です。


作中屈指のクズキャラであり温厚なセイが唯一人間に明確な殺意を向けたキャラでもあります。


人として許せないことをしすぎたんですねカイというゴミ人間は。



そこには何の信念もなく己の欲しか無かったわけです。



最後はリョウという善人を刺し殺しリヴまで殺そうとする鬼畜っぷり。


カイの暴走は止まりませんでした。



しかし最後はセイが弓矢で撃ち殺します。



カイは最後に自分の本心を言って死にますが僕は何一つ共感できませんでした、ぶっちゃけ同情の余地はないです。死んでスッキリしました。



さて、この自殺島の終わり方ですが僕的には島が開放されない方が良かったかなと思ってます。



島が開放されず、セイ勢力もサワダ勢力も数年後には仲よくなり島を自分達で島を発展させているようなエンドが個人的に望んでました。



しかし本編の終わりもきれいな終わり方だったので良かったかなとも思います。



総じて作者の死生観の訴えがメインの渾身の作品だったと思います。


この自殺島という作品は僕個人としては好きです。


読む人の精神状態によってもこの作品は好き嫌いがハッキリ別れると思います。


アニメ化してほしいなぁとか思いますがおそらく題材的に無理でしょう。




色々考えさせられる作品でした。面白かったです。






























       
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